• Sanshin Gallery Exhibition


開催中の展覧会情報

アクシス・ムンディ/世界軸 ─D52形蒸気機関車72号機─(部分) 225.0×540.0cm 高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥 2015年

アクシス・ムンディ/世界軸 ─D52形蒸気機関車72号機─(部分)
225.0×540.0cm 高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥 2015年

金子朋樹展
金子 朋樹

 

 
山祇考 ─連なる、重なる、繋がる─  245.0×540.0cm 高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥 2018年

山祇考 ─連なる、重なる、繋がる─ 
245.0×540.0cm 高知麻紙、顔料、染料、墨、箔、泥 2018年


山形の山々。富士山やヘリコプターなども登場。「場所性を重視する自己にとって、静岡と山形の反復運動はさらに重要な意味を持つようになった」というように、不変の自然観に思いを馳せる作品。

 

 日本画家の金子朋樹さんは、壮大な自然と自身の記憶にある情景を調和させた趣のある作品を発表しています。幽玄の世界のような優しいタッチの奥深く、金子さんの描く世界が浮かび上がります。「巧みな技」で表す透明感のある日本画です。
 御殿場市で生まれ育った金子さんは、身近に自衛隊基地や機関区などがあることから、ヘリコプター、機関車などの生活に密着した題材が作品のモチーフとなることも多くあります。しかし、直接的な表現ではなく、水面、またはフィルターを通して見るかのような透明感のある表現力で、見る人の中にも優しい揺らぎを感じさせます。この金子さんの創作に対する思いが込められている言葉がタイトルで用いた『パントノミー』。ドイツや日本の哲学者が用いていた言葉です。
 「幼い頃から絵を描くことが好きで、自分の心で受け止めたものを絵筆で表現してみたかった。情景を描こう。心にあるものを描こうと考えて富士山も含めて、身近な情景を作品に反映させていました」と語ります。また、小学生から書を学び、白い和紙の高貴な美しさと、その和紙に染みる墨の美しさを受け止める感性を備えていることも相まって、絵画の中に独自の世界を展開しています。サブタイトルには、日本画の流派のひとつである土佐派の絵師、土佐光起の言葉で「白紙も模様のうちなれば、心にてふさぐべし」を引用しています。「白紙(余白)は単なる白では無く、物事の有り様や様子を表している大切なところだから、あえて何も描かなくても、心を持って大事にしていきなさいというような意味で、今の自分の座右の銘みたいなものです」と語ります。2015年より東北芸術工科大学美術科専任教員として山形市にアトリエを構えた後は、御殿場と山形、それぞれの印象的なシーンを生かした風景が誕生しました。画家が心に響く一瞬を切り取って描くとしたら、ふたつの土地は様々な表情で作品に登場しています。大学で教鞭をとり、作家としての創作、展覧会の企画など多方面で活躍する金子さん。芸術家グループ『ガロン』でも活躍しています。
(文/寺坂厚子)
 
百代草、花咲きて(部分) 230.0×170.0cm 杉板、顔料、染料、箔、泥 2018年

百代草、花咲きて(部分)
230.0×170.0cm 杉板、顔料、染料、箔、泥 2018年


 
Photo/眞野 敦
「パントノミー」……日本、東洋の芸術の特徴が、 芸術と生活の深層的融合であり、自分の表現や日本画そのものが まさしく生活の中に一体化している状態と感じています

次回開催の展覧会情報

「図書館の庭で拾う」越谷市立図書館 2017年

「図書館の庭で拾う」越谷市立図書館 2017年

ナガクボケンジ展
ナガクボケンジ

 

 
黙々と台座を作る作業は、時間を埋めることでもあります。同じスタイルを続けることは、ただ繰り返すという作業です。自分にとってはごく自然な、呼吸をするようなことなのです。ナガクボケンジ

「図書館の庭で拾う」越谷市立図書館 2017年

「図書館の庭で拾う」越谷市立図書館 2017年


 

 インスタレーションという手法で作品を発表しているナガクボケンジさん。2012年に続き、さんしんギャラリー善では2回目の個展を開催します。会場を埋め尽くす主役は桂やヒバの木を用いて作った10センチ角の白い小さな台座。何度も白い色を重ね塗りした美しい小箱です。その台座の内部をくりぬいて時計のムーブメントを設置します。その台座には小さな葉、枝、石など、ナガクボさんが愛おしむ品々が装飾されています。前回は、規則正しい配置の展示でしたが、最近は、ランダムな並べ方であっても主張が伝わると感じているそうです。
 ナガクボさんは、お父様の仕事の関係で小学校時代に駿東郡清水町湯川に移転しました。慣れない土地で過ごした日々。友人と遊んだことよりも湯川の地でひとり過ごした思い出が残っているそうです。今回は、その思い出の地から採取した品で彩りますが、自然のなかで過ごした思い出というよりも、そこに居たという自分の存在を確かめるために湯川の品々を選びました。

 愛らしい時計は1分間で1周し、少し停止して、再び動き始めます。会場全体に約1500個設置された台座から響く音は、決して揃うことはなく、思い思いの音色が響きます。「これは何の音?」と感じ、視線で音の根源を探し当てた時に驚きを感じるかもしれません。それぞれが奏でる音とその情景を楽しんでいただきたいものです。

(文/寺坂厚子)
 
「この窓の外をひろう」さんしんギャラリー善 2012年

「この窓の外をひろう」さんしんギャラリー善 2012年